令和3年度公認心理師試験ブループリント公表

 皆さんこんにちは。ファイブアカデミー講師のTです。

 年度が変わってばたばたと業務に追われており、前回の記事から期間が空いてしまいました。世間はもうすぐゴールデンウィークに入るところですが、お家でゆっくり過ごされるという方も少なくないかと思います。皆さんはどのように過ごされる予定でしょうか?
 先日、日本心理研修センターより、令和3年度公認心理師試験出題基準・ブループリントが公表されました。受験を予定されている方はもう確認されましたでしょうか?公認心理師試験を控えている方で、普段仕事などでまとまった学習時間が中々取れないという方は、ゴールデンウィークに集中的に学習をする時間をとるのもありかもしれません。
 というわけで今回は、公認心理師試験で毎回公表されるブループリントについてお話ししていきたいと思います。

ブループリントとは

 すでに公認心理師試験の受験経験がある方はご存じかと思いますが、まだ受験したことがないという方は、「そもそもブループリントって何?」と思われているかもしれません。日本心理研修センターによりますと、ブループリントとは「ブループリント(公認心理師試験設計表)は、公認心理師試験出題基準の各大項目の出題割合を示したものである。これに基づき、心理職に対するニーズが高まっている近年の状況を踏まえ、社会変化に伴う国民の心の健康の保持増進に必要な分野を含めた幅広い分野から出題するほか、頻度や緊急性の高い分野についても優先的に出題することになる。」とされています。そして、実際に手元で見ると分かるのですが、ブループリントには大項目・中項目・小項目(キーワードの例)というようにカテゴリーが記載されています。ですので、大雑把に言ってしまえば、学生時代の定期テストの際に配布されるテスト範囲表というイメージです。

ブループリントの使い方

①知らない・説明できないキーワードを無くしていく

 ブループリントでは前述のように、大項目・中項目・小項目(キーワードの例)があるのですが、大項目・中項目はいわば大カテゴリー・中カテゴリーであって、学校のテストで例えるならば、「大カテゴリー:数学→中カテゴリー:数ⅠA」のような具合です。ですので、ここだけではまだ具体的にどういったことが設問のテーマになりうるのかイメージがつきにくいです。ですが、小項目では、そのカテゴリーに含まれるキーワードがいくつか載っています(先ほどの例であれば、→小カテゴリー:因数分解、順列など)。したがって、ブループリントを見ていく上ではざっと出題範囲や領域を大項目・中項目で確認したら、それぞれの小項目で記載されているキーワードを見ていき、自分が知らないものや説明できないものがないか確認し、ノートにまとめる等しておくと良いかと思います。もちろん小項目のキーワードがすべて必ず試験に出るというわけではないですが、小項目のキーワードのいくつかは何かしらの形で設問のテーマに反映されているものがあります。
 第4回試験のブループリントでは資料の最後に索引がついています(第3回までのブループリントではありませんでした)。そちらの索引も活用し、キーワードを1つ1つ着実に増やしていきましょう。

②新出用語の確認

 このブループリントは、これまでの試験ごとに毎回公表されており、小項目(キーワードの例)については試験ごとに追加されたり消えたりしているものがあります。つまり、第4回試験のブループリントには、第3回試験のブループリントに載っていなかったキーワードがいくつかあるということです(例:高齢者の意思決定と詐欺被害、人生会議など)。ですので、こういった新出用語をしっかりと確認しておくことが必要かと思います。

③キーワード暗記で安心しない

 ここまでお伝えしているように、ブループリントは要するにテスト範囲を示すものであり、小項目のキーワードを1つずつ押さえていくことが重要ですが、そこはあくまで土台の部分です。キーワードを知っていれば試験で点数をとれるかというと、そうとも限りません。ですので、ブループリントだけやっていれば大丈夫という意識ではなく、ブループリントで学ぶべきポイント・キーワードを把握して学習し、それを元に過去問や模擬試験、問題集等の「演習」に挑んでいくことが重要です。
 キーワードを押さえると表現すると、用語の暗記というニュアンスが先行しがちですが、知識を「暗記」することと「理解」することは同じではありません。暗記というのは、その知識を覚えたままの形で再生できることですが、試験でその知識がそのままの形で問われるとは限りません。つまり、用語の定義を暗記してそれを字面だけ口頭で再生できたとしても、その用語の持つ意味や性質といったことを理解しなければ、少し形を変えられただけで正答できなくなる問題がでてきます。ですので、キーワードは暗記するだけでなく、意味や性質を理解するところまで学習することが肝要です。そういった意味で、自分がしっかり「理解」できているのか、それとも「暗記」しただけの段階なのかをアセスメントしてくれるのがやはり問題を使った「演習」になってきます。ブループリントで土台をしっかりとつくり、演習をしてそれをさらに固めていきましょう。

最後に

 余談ですが、先日知り合いに「どうして公認心理師試験のブループリントって、ブルーなのかね?レッドプリントとかグリーンプリントでも良いのにね。」と言われました。

○blueprint(ブループリント):(名詞)青写真、計画、設計図

今回の一言
「嘘は常備薬、真実は劇薬」by河合隼雄