第三勢力の心理学「人間性心理学」と「欲求階層説」【試験に出る心理用語】

はじめに

みなさんこんにちは。ファイブアカデミーです。

試験勉強は順調に進んでいますでしょうか?

今回は「試験に出る心理用語シリーズ」として、「人間性心理学」と、その代表的な心理学者である Maslow,A.H.(マズロー) が提唱した「欲求階層説」というキーワードをセットでご紹介します。

過去記事では「ゲシュタルト心理学」についてご紹介しましたが、心理学の学派の分類を勉強すると当時の研究者が人間のどのような側面に興味関心を持っていたかが分かるので、心理学への理解がより深まります。

それでは本題に参ります。

人間性心理学=第三勢力の心理学

まず、人間性心理学は下記の通りに定義される立場の心理学です。

1950年代に発展した、悲観的な人間観をもつ精神分析や、機械論的な人間観をもつ行動療法の対抗勢力として、人間の肯定的で健康的な側面を強調する立場。

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心理学者のMaslow,A.H.(マズロー)は人間性心理学を「第三勢力の心理学」と呼びました。

「第三」というのは、それまでの二大勢力であった「精神分析」「行動主義」という学派に対しての「第三」ということです。

「精神分析」や「行動主義」は人間の病的な側面や環境に依存する側面に注目していましたが、人間性心理学は人間の健康的な側面に注目をしたというのが大きな特徴です。

人間性心理学の代表的な心理学者としては、来談者中心療法で知られるRogers,C.R.(ロジャーズ)や歴史的名著「夜と霧」で知られるFrancl,V.E.(フランクル)、そしてこの後ご紹介する「欲求階層説」を提唱した Maslow,A.H.(マズロー)などが知られています。

欲求階層説とは?

まず「欲求階層説」というのは下記の通りに定義されます。

人間は自己実現に向かって絶えず成長していくという人間観に基づいて、Maslow,A.H(マズロー)が提唱した欲求の階層構造である。

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心理学の専門書以外の一般書などでも度々引用されるのでご覧になったことはあるかもしれません。欲求階層説では下図のように欲求の構造がピラミッドの様になっていますので下から順にご紹介します。

●生理的欲求:食欲・性欲・渇・呼吸など身体的な基盤を持つ欲求
●安全欲求:苦痛・不安・危険などを避けて安全・安定を求める欲求
●所属と愛情の欲求:集団の所属や他者との友好的な関係を求める欲求
●自尊の欲求:他者から尊敬・尊重されることを求める欲求
●自己実現の欲求:自己が潜在的にもっている可能性を実現しようとする欲求

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この図を見ていただくと、まず人間は 「食事や睡眠をとりたい(生理的欲求)」「身の安全を確保したい(安全欲求)」という欲求が先立つということです。

そこが満たされると、 「集団に所属したい・他人とつながりたい(所属と愛情の欲求)」「他人から承認されたい(自尊の欲求)」という欲求が生まれ、その後に「自分の可能性を試したい(自己実現の欲求)」という欲求が生まれる、という仕組みになっています。

おわりに

というわけで今回は「人間性心理学」「欲求階層説」というキーワードをご紹介しました。

心理学の歴史をたどっていくと、各時代の心理学者の「人間観」、つまり「人間の心などをどのようにとらえていたのか?」ということも垣間見れます。

これが心理学を学ぶ面白さの一つでもあり、将来心理職の現場に出たときも役に立つ知識となってきますので、受験生の方はそういった点も含めて学びを深めていっていただけると良いかと思います。

今回の投稿は以上となります。

ここまでご覧いただきありがとうございました。