言葉によらない心理療法「芸術療法」とは?【試験に出る心理用語】

はじめに

皆さんこんにちは。ファイブアカデミーです。

試験勉強は順調に進んでいますでしょうか?

読者の皆さんは「心理療法」と聞いてどんなものをイメージされますでしょうか?

クライエントがセラピストに自分の悩みや困りごとなどを話す一般的に「カウンセリング」と呼ばれるものも心理療法になりますが、言葉によるやり取りが主体ではないものもあります。

今回はその中でも「芸術療法」についてご紹介します。

芸術療法とは?

芸術療法というのは下記の様に定義されます。

さまざまな芸術作品を創造する活動に従事することを通じて、心身の健康を回復することを目的とする心理的治療全般のこと。

神村栄一(1999)『心理学辞典』有斐閣 ,p.215.

「芸術」という名前がついておりますが、「より上手いか」「より芸術的か」を目指すというよりかは、芸術的な活動のプロセスを大事にするということです。

その種類も様々なものがありますが、今回は似たタイプのものとして「箱庭療法」「風景構成法」の2つをご紹介します。

箱庭療法

箱庭療法は下記の様に定義されます。

木箱の中に砂やミニチュアを自由に並べることによって、自分の世界を表現する心理療法である。

心理学専門校ファイブアカデミー(2020).心理学キーワード&キーパーソン事典 ナツメ社

もともとは、イギリスの医師Lowenfeld,M.(ローエンフェルト)「世界技法」という心理療法を、スイスの心理学者であるKalff,D.M.(カルフ)が発展させました。

箱庭の大きさは「57センチ×72センチ×7センチ」と決まっており、クライアントはそこで砂を触ったり、ミニチュアを置いたりと、自由に表現することができます。

作品が上手いか下手かということは評価はせずに、作品が出来ていく過程や、完成した作品をセラピストとクライアントが共に味わっていくという体験が重視されます。

風景構成法

箱庭療法と似たものとして風景構成法があります。

精神科医の中井久夫が、統合失調症の患者に箱庭療法が使えるかどうかを試すために開発した心理療法です。

箱庭療法は、箱の中にミニチュアを並べていくのに対して、風景構成法は画用紙にサインペンで指示された順番で絵を描いていきます。

その順番は決められていて、下記の通りになります。

「川→山→田→道→家→木→人→花→動物→石」

この後に、書き足りないと思うものを足したり色を付けたりして完成です。

こちらも絵の上手い下手を評価するのではなく、作品をセラピストと共に観賞したり、セラピストが質問をしたりします。解釈の方法は箱庭療法の方法を参考にしたりもします。

おわりに

今回は芸術療法についてご紹介しました。

芸術療法はこの他にも、音楽療法、心理劇、コラージュなどさまざまな種類があります。

どうしても試験勉強の段階だと「〇〇の提唱者は××で…」という勉強になってしまいますが、

ご興味のある方は勉強がひと段落した後などに実際に体験されてみると、ご自身の中に新しい発見があるかもしれません。

というわけで投稿は以上となります。

ここまでご覧いただきありがとうございました。